STAPの悲劇を作った人たち(7)
主犯 NHK-3 暴君の放送法違反
すでに示したように主犯NHKの犯した反社会的な行為は、次の5つである。
1)STAP論文の記者会見を大げさに報道して有名にしておいて、後で叩くという「マッチポンプ報道」をしたこと。
2) STAP論文の主要な著者は4人なのに、小保方さんだけに焦点を当てて批判を展開したこと。完全にNHKの判断で「良い人、悪い人」を分け、著者の中でも恣意的に区別を行ったこと。
3) STAP論文にネットで疑義が出されると、「意見が異なる両者」の意見を比較して報道するのではなく、放送法4条に違反して「疑義を言う人だけの言い分を報道する」という放送法違反の報道をしたこと。
4)理研の調査委員会が結論をだし、論文が取り下げられたのに、特定の個人(笹井さん、小保方さん)の的を絞った批判の報道を続けたこと。
5)取材に当たって小保方さんに2週間の怪我をさせ、女子トイレに閉じ込めたこと。個人の私信であるメールを公開したこと。
1),2)については整理を済ませたので、3)へ進みたい。STAP事件が2月に起こってから、4月になると、この問題について、意見が2つに分かれていることが明らかになった。さらに6月末になると旗色は鮮明になる。
1)当事者のうち、笹井さん、小保方さんは「研究も論文も一所懸命やった。すこし間違ったが大筋で問題がない」という立場だ(これが一方の当事者。ネイチャーも掲載した以上は形式的に支持の立場)。
2)当事者のうち、若山氏、理研は自分の行為は自分の意思ではないという「裏切り」の言動にでた。
3)外野(ネットの匿名バッシング、テレビに出る専門家(テレビは報道しようとすることをいう人しか出さない)、マスコミ、芸能人など)は「論文を取り下げろ」、「再現性が問題だ」という立場を取った(人名は記録しておく必要がある)。
つまり、この問題は、裏切り者(自分の行為を自分で責任を持たない人)を除いて、はっきり、2つに分かれていた。放送法第4条(極めて重要な条文)には、
「四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」
とあり、報道はこの条文に違反しないように最大の注意を払う必要がある。ところが現実に行われた報道は当事者側では記者会見をほぼそのまま報道するだけで、その記者会見も記者の質問は「糾弾」と言えるものだった。
つまり、「研究も論文も非難するほどのことではない。むしろ日本の学術の発展に寄与する」という立場の論評はまったくなかった。実は私のところにも10回程度、テレビなどから取材があったが、東京や大阪のテレビは私が「論文は優れたものだった」というと、それで「ああ、そうですか。それじゃ」と取材を打ち切った(具体的な放送局名や質問内容などは講演会などでは言うことにしている)ことからわかるように放送法を守ろうという雰囲気はなく、単にバッシングしたいという一念だった。
このように「放送局自体が、事実ではなく、ある価値観を持って善悪を決める」という姿勢は今に始まったことではない。慰安婦問題や南京虐殺報道の朝日新聞、台湾報道やツバル報道などのNHKに象徴されるように、NHKはすでに「自ら善悪を決める神様」と「それを一方的に強要する暴君」を兼ね備えるようになった。
政治家が抵抗できない報道という権力と、厚い弁護士団に守られたNHKは法律違反など大したことはない、その意識がこの報道でもはっきりと見えた。まさに個人に的を当てた「自分の娯楽のためにピストルの代わりに報道を使うリンチ」をしたのだ。
(平成26年9月9日)
武田邦彦
(出典:武田邦彦先生のブログ)